その先へ飛ぶこと〔32〕
前回までの内容は「文化・芸術」のカテゴリーでご覧ください m(_ _)m
門司港駅には大牟田行きの快速が止まっていた。運転席の部分は水中眼鏡のような感じで白いフロントと黒いガラスが印象的だった。ステンレスの車体は窓の下に赤と青のラインがあり、座席は二人がけで背もたれを動かせるようになっていた。
「先生、このまま乗って黒埼で特急のほうがいいかもしれないです」
携帯でダイヤを調べていたゼミ生の一人がトモヒロに言った。
「この電車のままでもそんなに変わらないかもしれないね」
トモヒロは北九州港湾曲と吸収運輸局を訪ねてから福岡空港に戻るときは快速電車だった。小倉から特急に乗ったことにして精算したことは伏せた。
小倉では階段を使って別のホームを使わなければならないので、そのまま快速に乗った。クラブ活動帰りの中学・高校生で座席は完全に埋まった。戸畑・スペースワールド・八幡と止まって黒埼で降りた。ここはホームの移動なしである。
やってきた特急「ソニック」は正面が黄色で、全体は青の車両である。座席はミッキーマウスのような耳がついたもので、何となく落ち着かない感じだった。乗客は半分程度なので楽に座れた。
「来年はどこにするんですか」
隣に座った三年が尋ねた。
「そうだなぁ。佐賀のほうになるかな」
伊万里港を整備する調査にも関わったが、問題は交通の便だった。福岡からならバスになるなとトモヒロは思った。
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