« これも博多駅 | トップページ | ななつ星の待合室から »

2013年11月20日 (水)

その先へ飛ぶこと〔43〕

前回までの内容は「文化・芸術」のカテゴリーでご覧ください m(_ _)m

 午後六時から最上階の社員食堂で懇親会だった。三回目の参加だが、外は日没で夜景になっていた。眼下の浜離宮は真っ暗で少し視線を上げるとレインボーブリッジが見え、羽田にアプローチする航空機の明かりがゆっくりとかすめた。

 会長は高崎にある大学に行った人で国際物流が専門である。簡単に挨拶してから社長からも一言あった。早期退職することになった侘びと今後も協力をお願いするという趣旨である。社長は重量物運搬の部門でトモヒロが入社したときは課長だった。そのご本社の部長を務めて二年前に研究所の社長となった。

 物流技術部のOBはほぼ揃っていてトモヒロは近況を報告した。まだ職場には嘱託として出てきていたが、市川・船橋・松戸・行田といったところに住んでいるため、秋葉原から新橋に移転してから少し通うのが大変になっていた。

 R大からは誰も来ておらず、神奈川の先輩も不在である。トモヒロは仕方なく社長と話をすることになった。

「宅配便事業から撤退することになりまして、この際スリムにということです。福岡市ですか。すると上海との航路も」

「去年は見学会でいろいろとお世話になりました」

 物流学会の九州部会では、上海と博多を結ぶ高速貨物船の見学会を行った。トレーラーを直接載せるRORO方式で、博多と上海は片道三十時間だった。博多は人工島が完成し、島の西側の埠頭に接岸した。島の大半は更地の状態で、これから先、住宅地を整備していく予定である。

「福岡でのテーマもありますから、そのときは協力お願いします」

 研究所が長く手がけた博多港の調査は別のシンクタンクに取られてしまった。北九州港のほうは何とか維持していて空港のことも頼まれた。 

|

« これも博多駅 | トップページ | ななつ星の待合室から »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: その先へ飛ぶこと〔43〕:

« これも博多駅 | トップページ | ななつ星の待合室から »