その先へ飛ぶこと〔27〕
前回までの内容は「文化・芸術」のカテゴリーでご覧ください m(_ _)m
物流産業論の教室は二階の大教室だった。定員200人で受講届けは例年150人くらいが出した。一学年180人だが、一部四年生が受けるという状況である。テキストは神奈川の大学にいるN通運時代の先輩と共著として出したものを使った。先輩は宅配便やトラック運送、トモヒロは海運と鉄道貨物、N通運の後輩が航空貨物を担当した。後輩はK大学の出身で入社から十二年目、いずれはどこかの大学に出ようと思っているのかなと思った。
シラバスでは一回目が物流産業の概要だった。輸送手段だけを持つキャリアー、自分では輸送手段を持たないフォワーダー、両方を揃えたインテグレーターである。航空貨物でいえば、飛行機の部分だけの航空会社はキャリアーで、N通運のように飛行機を持たず地上での輸送のみというのがフォワーダーだった。これに対してアメリカのフェデラルのように自社の航空機を持ち、トラックでの集配までカバーしているのがインテグレーターである。
二回目となる今回は宅配便の歴史だった。その前に前史として江戸時代までさかのぼって飛脚にまで触れた。そして明治時代の郵便制度、鉄道の小荷物、N通運の創設期にあった「宅扱い」と行って昭和五十一年のヤマト運輸による宅配便開始まで進めた。宅配便についてはその後のサービス競争を三回目に触れ、時間指定や温度管理といったところまでやるつもりだった。
最前列では科目受講者がいて授業のあとに貨物追跡サービスのことを聞かれた。その人は地元の百貨店を定年退職していくつかの大学で経営関係の科目を受講していた。追跡サービスは次回にということでトモヒロは昼食に急いだ。午後からは広報委員会が迫っていて大学内の食堂か外にある店かで心はそちらに飛んでいた。
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