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2013年10月22日 (火)

ロンゲストマーチ(52)

前回までの内容は「文化・芸術」のカテゴリーでご覧ください m(_ _)m

 リハーサルが終わると毎年恒例の係長からの叱咤激励である。水曜日の最初のリハーサルでは「こんなのじゃ全く駄目」ときつい言葉が浴びせられ、木曜日は「少しよくなった」そして本日は「また悪くなっている」という具合である。それがお決まりのパターンだから栄作は平静を装うことができたが、初めての一年生の係は応援練習を思い出して心中穏やかでないかもしれないなと栄作は思った。

 ステージのセットは楽屋のほうに移動させて帰途についたのは午後九時半である。校門への坂を下りていくと目の前を博多に向かう新幹線が横切った。無数の窓とパンタグラフの放つ火花が少しずつスピードを上げていった。

「家には寝に帰るだけか」

 栄作は一緒に歩く二年生に尋ねた。彼は小学校が同じで中学はS中である。「みんなで歌おう」では照明を担当した。

「予習をやっている暇がないですよ」

「俺もぶっつけ本番だな。数学は地獄だよ」

 数学の先生は日付によって「今日は15日だから5番、15番、25番」という当てかたをしていたが、「15の約数で3番」というような不意打ちもあった。それに机の縦・横・斜めというのもあって数学が苦手な辻は一年のときに「数学が駄目やのう」と言われ、つい数日前には「駄目やったのう」と言われていた。

「英語はどうですか。辞書ひかなくても即興で訳す人もいますが」

「うん。だけど英単語の意味って結構。チェンジなんて変化するというのだけじゃなくて小銭に替えるって意味もあったよね」

 西小倉駅の利用者は日豊線沿線が多かった。門司方面は路面電車だし、モノレールが建設されているエリアはバス通学が主流派である。中には学校の近くに住んでいる者の家に泊めてもらっているのもいると聞いた。

 

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