枯れた街(31)
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通運部での話しは一時間足らずだった。細かいことは大阪や神戸、九州でということになり、やはり「本社と現地の温度差」なのかなと亀井主任研究員は言った。次は航空事業部だが、こちらは3時過ぎてからである。やはり6階での話しとなった。
「神戸航空支店で聞いていただいたほうが・・・というエピソードだらけですね」
応対した課長が開口一番に言った。
「六甲アイランドの倉庫が遺体の安置場所になったというのがマァ」
「一番被害のひどかった場所の近くということですか」と亀井主任研究員が相槌を打った。
「検視とか身元確認といったことのためで・・・それにしても夏場だったら大変だったと思います。遺体の腐敗が早いですから」
「本社ではどのように対応されていたのでしょうか」
「まずは海外からの救援物資の受け入れに関してですね。関空がオープンしたばかりというのは大きかったです。それから鉄道や高速道路の代替。機材はフル稼働で、クジラのペイントをした飛行機も塗り替えを三ヶ月遅らせましたからねぇ」
「スキーの修学旅行シーズンで、新幹線から航空へのルートの変更がいろいろとあったと聞きますが」
これは旅行事業部の管轄かなと思いながら聞いてみた。九州の高校は冬にスキー修学旅行というケースが増えていると聞いていたからである。
「うちではそういう取り扱いは少ないですが、急ぎの宅配貨物では航空利用が増えましたよ」
やはり神戸でのヒアリングのほうが重要という点で共通していた。本社では他に総務労働部、トラック事業、公用営業、海運事業部、国際営業部などにアポイントメントを取っているところである。
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