枯れた街(32)
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四階のフロアに戻ると早速ヒアリングの内容をオアシスの文書にする作業にかかった。表紙・目次・地震被害の概要は一つのファイルにまとめ、それから本社ヒアリング、支社ヒアリング、従業員およぴ家族のヒアリング、アンケート用紙、アンケート結果、アンケートの自由記述という具合にファイルを作るつもりである。そして「N通 阪神大震災」というラベルを貼ったフロッピーにまとめていた。
地震被害の概要は土木研究所のレポートと同じようにつくっていた。発生日時、震度分布、人的被害、インフラ被害、交通機関への影響という具合である。土木研究所のほうは道路被害についての詳細を求めていたため、N通用とは少し構成が違った。N通のほうは阪神高速と中国自動車道に力点があったが、土木のほうは一般の国道や剣道にも触れるようにということだった。
早く帰れるうちは早めにということで、六時半には職場を出た。小岩のイトーヨーカドーには閉店直前で値引きシールのものをゲットできるタイミングである。家で何をするかということだが、研究所の季刊誌に投稿するための原稿を考えてみたり、流通関係の業界紙への寄稿文にも手を染め始めていた。業界紙の原稿は二千字で7000円と結構おいしいものがあった。
季刊誌のほうには個人研究として、ロシアの航空事情を出すつもりだった。アエロフロート解体後の状況ということだが、ロシアについてはあまりやっている人がいないので、取り上げてもらえる可能性が高かった。ソ連崩壊で軍が影響を受けたのか、輸送機を使って商売をするという形で新しいエアラインが大量にできているようだった。アントノフ124という世界最大の輸送機で、大型貨物のチャーターを行う会社まで作られた。
業界紙の原稿は、ボーイング777がもたらす航空貨物への影響という題名だった。ユナイテッドが一号機を就航させ、A空輸が二番手で受領したばかりである。J航空も注文をしていて、A空輸はトライスター、J航空はDC10の後継という位置づけだった。どちらもエンジン三発、三百五十人乗りだが、それをエンジン二つで飛ばすことで経済性のアップを期待していた。
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