枯れた街(7)
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搭乗ゲートのそばにある売店で職場への土産にホワイトチョコレートを買った。座席は「18A」である。シートのカバーにクジラの絵が入っているのが、マリンジャンボの特徴の一つだった。座席に座るとイヤホーンの袋を破って耳につけ、チャンネルはポップスに合わせた。
客室はそれほど埋まってはいなかった。隣は空席で窓側と通路側、横10列で6人という感じである。午後四時過ぎたばかりで、ビジネス客の多くはこれから札幌を出るというところだろうと思った。
南に向かって離陸すると眼下には原生林が広がり、すぐに海の上に出た。雲がたちこめていて、エンジンの音が急に大きくなって上昇の勢いが強まった。水平飛行に移ったところで機内のアナウンスがあり、搭乗券の抽選番号が発表された。今回も当たらなかった。
雲海がなくなって下が見えるようになった。海岸線と機内誌のマップを見比べて福島県の上空だろうかと思った。遠くに見える太平洋の水平線は緩やかに湾曲していた。降下が始まったのは茨城県に入ったあたりである。小岩駅で電車を待っていると羽田から北海道に向かうと思われる747が見えたが、どのようなコースで羽田に下りていくのだろうかと思った。
羽田は北西から南東にかけて二本並んだ滑走路と北東から南西に一本の計三本の滑走路があった。主に使われるのは二本並んだもので、離陸と着陸を交互にしていた。風向きによっては南東方向に離陸、南西方向に着陸という使い方である。離着陸はどちらも海側になるようにしていて、陸地の上は飛ばないという不文律になっていた。
着陸のアナウンスがあったとき、機体は東京湾の上だった。遠くに羽田のターミナルが見えた。ターミナルの海側ではさらに沖に展開するための埋め立て工事が進んでいた。南西方向に着陸するとUターンしてターミナルビルではなく、バス移動のところに止まった。タラップを降りてバスに乗り、ビルの中央からモノレールの駅に進んだ。
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