その先へ飛ぶこと(17)
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トモヒロが乗った貝塚行きの地下鉄は箱崎九大前を出ると地上に上がった。終点の貝塚だけは地上にあった。11月の第二土曜に物流学会の九州部会はJR貨物の福岡ターミナル駅の見学会をすることになった。午後一時半に貝塚駅の改札口に集合ということになっていた。
貝塚駅は行き止まり式になっていて一番前だけに改札があった。向かい合わせで西鉄の宮地岳線の改札があり、この二つの路線はその気になれば相互乗り入れすることが可能だった。
九州部会の中心となっているのはQ産業大学の田村教授だった。大分の国立大学を定年になってからこっちに移り、交通経済論を担当していた。他には長さ危険の大学の松野教授、この人は海運が専門である。さらにK学園大学、S学院大学、N通運福岡支店や北九州市役所からも参加していた。
参加者は15人で、全員揃ったので徒歩で福岡貨物ターミナル駅まで移動することになった。ターミナル駅までの案内はトモヒロである。研究所時代に何度も足を運んでいるのでガイドとしてはうってつけだった。出張ではタクシーで乗り付けたが、貝塚駅からだと駅の入り口まで五百メートルほど歩くことになった。
「この公園の向こうが国道三号線で、高層マンションがずらっと並んだ向こうがターミナルです。入り口は反対側なので外をぐるっと回って行くことになります」
貝塚駅の西隣にある公園の入り口でトモヒロは一同に説明した。北には国道と都市高速の高架があり、南は九州大学のキャンパスである。高層マンションの上を福岡空港に着陸する747が轟音を立てて通り過ぎた。
国道三号線を渡るともう線路際である。貨物用の単線がJR鹿児島線から分岐して西鉄宮地岳線をまたぎ、多々良川を渡ってターミナルの東端を南北に貫いていた。発着する列車はこの単線を利用し、ターミナルの南からコンテナを積みおろしするヤードに入った。
単線をくぐるとヤードが広がっていた。国道が地上に降りてきて、都市高速は大きな弧を描いて博多の中心部に向かう場所である。国鉄時代のコンテナは緑色が主流だったが、JRになってから水色になり、最近は小豆色に変わりつつあった。
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