大阪感情線物語(39)
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「K都大学の院ではどんな研究をするんですか」
学部長が今の段階で「出世頭」の者に尋ねているのをМは聞き耳をたてていた。
「行政訴訟の原告適格についてやってみようと思います」
「それは外国との比較も含めてですか」
「ドイツの事例で行こうと思います。原子力発電の差し止め訴訟が半径30キロ以内の住民というのはどうも狭すぎるという問題意識からです」
別のところでは陸上自衛隊の幹部候補生学校に入る者が包囲されていた。久留米にある学校で訓練を受けるそうである。「国営暴力団」だの「自衛隊と警察は資本主義体制を守るための暴力装置」だの「警察と暴力団の違いは国家公認か否か」だの「それは軽率な発言」という言葉が飛び交っていた。
「就職しても小説家デビューを目指すつもりかぃ」
МはAビールに入る者にビールを注ぎながら尋ねた。彼は「書きたいという衝動はマダ消えていないんだよ」と答えた。
「もし芥川賞当てたら会社はどうするの」
「それは軌道に乗るかどうかかな。開高先輩だってすぐには辞めてなかったよね」
「配属先は決まっているの」
「東京勤務になるみたい」
井原との話ではD生命は横浜で一ヶ月の集合研修と聞いた。既に宅配便の送り先が東京の独身寮と指示されていて、本社か東京の支社だろうと彼は言った。D生命には経済学部からも二人入るそうである。
大阪市役所に入る三人は一人が公務員留年で箕面の出身だった。あとの二人は木下さんと同じ高校だった者と岡山の倉敷出身だが地元には戻らないと決めた者である。京都市役所の二人はどちらも地元で、1人は公務員留年だった。
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