その先へ飛ぶこと(10)
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トモヒロが担当する「物流産業論」は火曜日の二時間目だった。三年生の全員が受講するので大教室が割り当てられた。教務から出席確認を厳格に行うことを求められていて、最初に出席カードを配った。一回目の授業では147人、二回目は138人となり、三回目はさらに減った感じである。
科目受講生として学外の人も3人来ていた。この人たちは毎回最前列に近いところである。やはり意識が違うんだなと思った。一回目は簡単に自己紹介をして「通運」とは何かから入った。最寄の鉄道駅との運搬というのがN通運の元々の業務だった。発送側で受け取った運賃を到着側の部分に支払う「交互計算」というシステムも紹介した。通運自体は鉄道利用運送という名前に変わった。鉄道が航空になるのが航空利用運送である。
2回目は宅配便の歴史を取り上げた。Y運輸がどのようにサービスを広げたかについてを中心として業界の動向にまで話を進めた。そして今回はアメリカの話として航空貨物最大手のF社を取り上げた。航空会社はキャリア、いわゆる通運はフォワーダー、両方を入れたのがインテグレーターなるものである。
「創業者はですね。ハブ・アンド・スポークというシステムを考案してハーバードのビジネススクールでレポートしました。教授の採点はCでしたが、市場の評価はA、大学の教師って意外に当てにならないという実例と言われてます」
「ハブとなる場所自体は貨物需要はほとんどありません。しかし、地理的な位置がちょうど国土の中心ということで、ここを中継してということで効率性を高めています」
「旅客でもこういうシステムを行ったわけですが、乗り継ぎの移動が貨物と違って人間ですからメンドクサイと文句がでる。そんなわけでマタ直行に戻るというようなこともありました」
どうも学生の反応は鈍いなと感じたが、自分が学生のときもそんな感じだったのかなと思ったりした。教室の窓からはN大学付属の幼稚園があって園児が庭に出ていた。それをじっと目で追っている者もいて「ロリコンではないか」と疑念を持った。
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