« プロペラ機はヤッパリ | トップページ | 夜の福岡空港に »

2013年6月22日 (土)

その先へ飛ぶこと(11)

前回までの 内容は「文化・芸術」のカテゴリーでご覧くださいm(_ _)m

 午後には「就職対策委員会」の会議が行われた。これは本部のアル建物である。古い建物で、十五人ほど入る部屋の隅には大きな空調機械が鎮座していた。委員長は流通科学部の教授で、事務局から3人、栄養学部から二人の教員合わせて七人が参加した。トモヒロがこの委員会を割り当てられたのは「民間企業勤務経験」が大きかった。

 委員長も大学院を修了してから銀行系のシンクタンクに十年勤めて別の大学を経ていた。栄養学部の就職状況は公務員が三割で、あとは民間企業、少数だが進学もあった。議題としては三年生向けの就職ガイダンスである。一期生となる流通科学部の実績が将来を左右すると委員長は言った。

「後期が始まったら早速、進路適性検査を始めて学生に就職活動への意識を高めてもらうことにします。それから業界ということになりますが、どうしましょう、いくつかの企業からこちらに来ていただくというのは。N通運はどうでしょうか」

「同期が福岡支店の総務・労働部にいます。採用担当ではないですが」

「こちらに来られるときに何らかの挨拶はされたんでしょう」

 研究所にいたときはヒアリング調査で同期のネットワークが何かと役に立った。N大学に移る旨を挨拶状にして出した者は16人いた。重機建設はもちろん、航空貨物、警備輸送、海外引越しなどである。

「公務員試験の合格者に体験談を語ってもらうのは十二月でいいですよね」

「できれば十一月のほうがいいんじゃないですか。少しでも早いほうが」

「公務員と民間一人ずつに就職の体験談。あとは企業の採用担当者となると」

「N鉄道はどうでしょうか」

 トモヒロが思い浮かんだのはそのくらいである。N鉄道には物流のN運輸や旅行代理店もあった。鉄道とは言うものの実態はバス会社である。

 さらに企業を訪問するという話も出た。六月までに教員と職員のペアで福岡市周辺を回るがJRやQ電力、F銀行の敷居は高かった。流通ということからまずスーパーかなということでトモヒロは訪問計画を立てることになった。

|

« プロペラ機はヤッパリ | トップページ | 夜の福岡空港に »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: その先へ飛ぶこと(11):

« プロペラ機はヤッパリ | トップページ | 夜の福岡空港に »