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2013年6月 8日 (土)

大阪感情線物語(37)

前回までの 内容は「文化・芸術」のカテゴリーでご覧くださいm(_ _)m

 卒業式も入学式と同じく、中ノ島公会堂で行われた。レンガ造りのこの建物は株の相場師だった人が利益を寄付して作られたそうだが、その相場師は大損で拳銃自殺を遂げた。そういうわけで証券は危ない世界という印象が強かった。

 Mは神戸市役所に合格した。JRの貨物会社と阪急にも内定をもらってまず貨物を辞退し、市役所に決まってので阪急も辞退した。国家二種も合格したが、本命は地元である。木下さんはNHK、今村はT建設に入ることになった。

 彼女がどうしてNHKにしたのか、ゼミも相談部も理解できなかった。四年の初めあたりから大学院に進むというようなことも聞いていた。マスコミ関係でそこだけピンポイントで受けて合格したというのも驚きだった。

 今村のT建設も不可解である。D生命は結局人事部の面接は受けず、ゼネコン数社に内定をもらってその中から選んだということだった。もしかしたら昔の夢は建築家だったのかなとМは推測した。

「わぁ、今日はひときわ綺麗ですね。着物が」

 相談部で待ち合わせていたら今村が女子の集団に声をかけた。彼はグレーのスーツに黄色と黒のネクタイ、Mはネイビーブルーのスーツに赤と銀色のストライプネクタイだった。木下さんは紅色の着物に紺袴というオーソドックスな卒業式スタイルである。

 式典は学長による送別の言葉に続いて経済学部の代表が証書を受け取った。証書と記念品は式場の外に設けられた学部ごとのテーブルで渡された。公会堂の外に出ると体育会はそれぞれのユニフォームで卒業生を迎えた。

 野球・ラグビー・サッカー・テニス・ボートはもちろん、剣道部も垂れと胴まで着けて整列していた。Мたちはそれを横目に謝恩会の行われるDホテルに向かった。そこは公会堂から約一キロ離れていた。

 

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