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2013年5月30日 (木)

大阪感情線物語(28)

前回までの 内容は「文化・芸術」のカテゴリーでご覧くださいm(_ _)m

 天王寺行きの普通電車は待避線に入っていた。先頭車両はいつも立ち客が出る状態である。Мは運転台の後ろに立ち、木下さんともう一人の女子は前から二番目のドアの近くに立った。もう一人の女子は阪急京都線の高槻市の近くからである。

「ここはマニアの特等席だな」

 Мと一緒に運転台の後ろに陣取ったSが呟いた。彼は法隆寺の近くに住んでいて天王寺で関西本線に乗り換えた。

「阪急は大卒社員にも電車の運転研修があるみたいだね」

「公務員試験がうまく行かなかったら民間も考えているんか」

「そうやなぁ。阪急は受けておこうかな。阪神はタイガースが負けた日に甲子園駅だと大変そう」

「俺も近鉄を受けておこうと思ってる」

 Sは奈良県庁を念頭に置いていた。特急を先に通した電車は長居でも区間快速に先を譲った。OC大を虐待するJRは就職でも冷たい感じで、K都大、O大のような扱いではないと相談部の先輩から聞いた。

 天王寺に着くとループの外回りにはМの他に木下さんたちともう一人、御影から来ているTが乗り込んだ。海岸に近いエリアに住むTは阪神を利用していた。高校は地元の県立である。

 木下さんたちは進行方向左側、Мたちはその向かい側に腰を下ろした。オレンジ色の電車なので席は窓に背を向けて座るタイプだった。

「ゴールデンウィークはどういう計画なんや」

 Tの問いにMは「アルバイトをチョットやって、あとは大阪周辺をブラブラ」と答えた。そろそろ運転免許も取っておこうと思ったが、どこで取るのかを決めていなかった。

「俺は東京に行ってみようかなと思ってる」

 新幹線を使わずに在来線を何本も乗り継ぐという方法もあった。彦根まで新快速、そして岐阜から豊橋までは快速があるので、大阪から東京までは八時間くらいでたどり着けるようだった。帰りは東京から大垣までの夜行があるとか言っているうちに大阪駅に着いた。

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