大阪感情線物語(26)
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二時間目は空き時間になっているので、Мたちは早めの昼食をすることにした。二時間目の先生は経済学部の先生を除くと正午ぎりぎりまでやる傾向にあった。そうなると食堂で食べる時間も五十分の昼休みぎりぎりである。教養のときは15分くらい早く終わっていたので、混む寸前に食べ始めていた。
「受講届けはどんな風に出した」
カツカレーを選んだ今村がМに尋ねてきた。Мは370円の定職である。やはり栄養のバランスだけは取っておきたかった。
「公法・政治学のパターンかなぁ」
「俺は民法と商法の形。司法試験は挑戦するの?」
「そこがなぁ」
同期生で本気で司法試験を目指すと公言しているのは五人程度だった。この五人が選んだゼミは民法・商法・刑事訴訟法といったところである。
「円高不況で民間の製造は厳しくなるだろうなぁ。SとかМ電器とか外国に工場移さないといけないかも」
「自動車は現地で生産になっているよね」
Aクラスだった者が話に加わった。彼は国際政治ゼミである。九州から来ている彼は地方公務員になるか大阪で就職するか思案中のようだった。
昼食のあとは生協の本屋で過ごした。食堂の隣に二階建てがあって一階は日用品からレジャー関係までの購買部、二階がプレイガイドと本屋だった。プレイガイドでは自動車教習所や色々なスクール、鉄道や飛行機の切符手配にコンサートチケットなどを取り扱っていた。本屋の入り口は雑誌コーナーで、ここで鉄道雑誌のページをめくっている者が多かった。
教科書の販売期間ということもあって各学部のテキストが山積みになっているコーナーがあった。憲法はK都大学の佐藤幸二という先生が書いたものである。この先生はゼミの先生の大先輩だった。刑法、国際法、刑事訴訟法はそれぞれの先生が書いたものがテキストになっていた。
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