大阪感情線物語(17)
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宿坊を出ると奥の院に行き、レストハウスで昼食をしてから高野山駅に向かった。帰りも特急「こうや」に乗るグループと急行組に分かれたが、「こうや」から急行に三人ほど移った。急行が先に極楽橋を発車して「こうや」のほうは急行と入れ替わりで到着した。急行は橋本まで各駅に停車し、「こうや」が金剛で追い越すというダイヤである。
Мは今村と並んで座った。どっちが窓かはジャンケンで決めて今村が窓側になった。木下さんは女子の先輩と並んで座った。先頭車両だが、運転席との仕切りにはカーテンが下ろされていた。それはトンネルが多いので仕方なかった。前方の視界よりもスピードメーターのほうが気になるが、感覚的には30キロ前後だった。
Мと今村、木下さんともう一人の三年生が新今宮で国鉄に乗り換えた。四人とも国鉄大阪駅を通るのでこのほうがコスト的には安くつくからである。ループは外回りのホームに行った。奈良からの快速が到着して四人がけのボックスに腰を下ろした。三年生が進行方向の窓側でその向かい側に木下さん、今村が三年生の横に座って、Мは両足を通路側にはみ出す格好をした。
「ちょっと奇妙なグループに見えるだろうなぁ」
三年生が苦笑を浮かべた。車内は座席が半分くらい埋まっている程度である。周りの四人がけは一人または斜向かいに二人というような感じである。
「新快速だったら難しいですよね」
今村が応じた。こちらは背もたれを動かして向きを変える二人がけが並んでいた。Мはクリームの車体に茶色い帯を入れたその電車には高校の練習試合で姫路に行ったときに乗っただけである。
大阪駅に着くと南口の27階ビルの展望室に立ち寄った。今村は紀伊国屋書店に向かい、三年生は東海道線の京都方面、木下さんは神戸方面である。
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