« 高体連剣道を覗いたら など | トップページ | 全日空 五月末までの時刻表 »

2013年4月28日 (日)

下り坂(143)

前回までの 内容は「文化・芸術」のカテゴリーでご覧くださいm(_ _)m

 福島の原発が四基壊れ、津波のために火力発電所も止まって電力不足の問題が発生した。東京の都心は計画停電から除外するとなったものの、電車の間引き運転や公共施設の節電で生活に影響が現れた。

 S剣友会の稽古も体育館の使用を取りやめることになったため、稽古が可能なのは日曜の昼の連盟稽古に限られた。哲也は五段挑戦を考えてもいなかったが、受ける人は東京武道館が避難所となったことで四月の審査がどうなるか気が気でないはずだった。もっとも避難してきた人の心情を思えば間違っても言えなかった。

 S剣友会の会員の子供のなかには西日本に実家のある親が春休み中は避難させるということもあった。原発からの放射能から逃れようと飛行機で高飛びというケースもあった。福島空港は汚染エリアから外れたため、運航は継続された。筑波から都心へのルートが放射能を含む雲が通ったらしく、この周辺の値が高くなっていた。

 東京武道館は四月中旬まで避難所となり、段審査は一ヶ月遅れての実施となった。五月になるとS剣友会の稽古も復活し、哲也も久しぶりの稽古となった。一方、夏には電力の不足が深刻になるということからエアコンの使用に制約が加わるようになった。もう建物に入ったらスーと汗が引く感触は味わえなくなりつつあった。

 学生の就職活動も東北エリアの大学が被災しているということから選考を遅らせることになった。そうして観光の問題は日本に来る外国人が大幅減少ということである。空き室の増えた宿泊施設に避難者を収容するということで多少しのげるが、人の流れをいかに回復させるかが問題となった。

 連休には被災地への災害ボランティアが会社でも組織された。南三陸という町を支援するということで若手が向かったが、哲也のほうは「災害時における航空のあり方」という論文を主席研究員の名前で研究所のサイトに載せる準備に没頭した。事業継続計画もまた首都直下地震や大津波が予測される南海トラフに備えて修正がはじまった。

 仙台空港は米軍の手助けも借りて早期に復旧し、まずは自衛隊の輸送機が救援物資輸送にあたった。東北新幹線は連休前に全て復旧し、羽田と秋田の機材はダウンサイズされ、山形の臨時便もなくなった。仙台空港に最初に降りる機体には「がんばろう日本」のロゴが取り付けられた。仙台と同じく海に面している羽田・中部・関西・徳島・高知・大分・宮崎の対策が検討されはじめた。

|

« 高体連剣道を覗いたら など | トップページ | 全日空 五月末までの時刻表 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 下り坂(143):

« 高体連剣道を覗いたら など | トップページ | 全日空 五月末までの時刻表 »