下り坂(128)
前回までの 内容は「文化・芸術」のカテゴリーでご覧くださいm(_ _)m
マイルの提携だけの浅い関係から機材や燃料の調達を共同で行う深い関係まで様々なケースを示して結論は「深い関係の場合、提携先のメンバーが変更になるケースをどこまで想定するかという問題がある」とした。アメリカのテロ事件でいくつかのエアラインが破綻してA空輸の提携先にも影響はあった。
質疑応答ではまず北九州にある大学の先生から質問がきた。新規参入したS航空がA空輸と提携するに至った背景である。独自路線を貫くならインターネット予約の時代になって既存のエアラインとの競争で不利ではないはずという見解を持っているようだった。
「先生がおっしゃるようにインターネットの普及していなかった時代には旅行代理店への予約専用端末の展開が競争の鍵となっていましたが、インターネットでは全く問題はないと思います。むしろS航空との関係では、福岡空港周辺エリアへの早朝・深夜の需要取り込みのほうが重要と思われます。北九州の午前五時半発というのは苦戦している模様ですが、六時台であれば福岡空港の一番機よりも東京に早く着ける。また福岡空港が午後十時で店じまいという現状では北九州に深夜到着というメリットは極めて大きいと考えております」
哲也自身がS航空との提携に直接関わったわけではないが、北九州空港の位置づけについては経営企画にいたときに示していた。もし自社で直接運航するならば羽田を福岡の最終便より遅く出て、北九州からの始発も福岡より早くするという案は持っていた。それに使う機材はA320か737だった。
「提携の類型については興味深く聞かせていただきました。それで今後の見通しですが、例えば、格安のエアラインがどのような動きをすると考えておられるでしょうか」
次に関西にあるK大学の先生が質問をぶつけてきた。哲也は大阪にいたときからこの先生とは顔見知りである。
「マイルの制度がないこと、サービスに関しても有料化によって互換性がないことから仮に提携するとしても機材や燃料調達に限るという形になると思われます」
「つまり利用者側にとっては特に関係の無い提携関係というわけですね」
他にまた突飛な質問が出てきた。C大学の院生で「体重別で運賃を設定するというようなことは考えられるか」ということだった。それは航空会社独自のサービスという範疇でしょうと哲也は応じた。
一日目の発表が午後四時に終わって全体会議となった。新会員の紹介に学会賞の贈呈、これは運輸関係の論文や書籍の中から与えられるものである。哲也も運輸政策研究所の出している雑誌に論文を寄稿したがノミネートはされなかった。これが終わると懇親会だった。
| 固定リンク
コメント