下り坂(75)
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ホテルの部屋はベッドが二つあるが、それを一つだけ使う形だった。ツアーの中には新婚ではないかというカップルもいてしかも自分と同世代という感じである。一人旅ならこんなグレードのホテルに泊まるのは少しもったいないし、ベッド&ブレックファストにするほうがよかった。
体内時計が日本のままなのか、ロンドンの深夜に目が覚めた。ベッドの中でうずうずした気持ちばかりがふくらんで、どのようにロンドンを歩くか考えていた。二日目はホテルの近くにあるロンドン大学を見て、大英博物館で過ごし、タワーブリッジに行く。三日目はビッグ弁からバッキンガム、そしてハイドパーク、あとはグリニッジのほうにも足を伸ばし、最終日は夕方にロンドンを離れることに決めた。
朝食はビュッフェ形式だった。スクランブルエッグやソーセージ、ポテトサラダはどれもパサパサしていて料理の不味さは聞いたとおりだなと思った。それでもパンと紅茶はよかった。哲也のいるテーブルに老夫婦がやってきて「周遊ツアーの方ですか」と尋ねられた。「飛行機とホテルだけA空輸に頼みました」と答えるとどこを回るのかと言われてロンドンの中をあちこちと言った。
「今日はロンドン市内をバタバタ回って、明日はコッツウォルズのほうに行きます。エジンバラのほうまで行ってそちらからロンドンの空港に戻って乗り継ぎです」
夫がそういうと妻のほうが「一つの街をじっくり見るのもいいですね」と言った。
大英博物館では三時間過ごし、ランチも館内で済ませた。展示物はサッと見ただけである。それからタワーブリッジまで行って対岸まで歩いて往復した。テムズ川も隅田川も変わらないなと哲也は思った。飲み物の自動販売機がないので売店で買うしかなく、片言の英語で店員とやり取りするという状態だった。TOIECであと一つ上に行くにはこうやって体当たりするしかないんだと思った。
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