何となく 何とでも(5)
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小倉まで乗る大分行の特急の座席はミッキーマウスが並んだような感じで落ち着かなかった。私たちは一番前の車両である。到着した別の特急から乗り継ぐ人で満席になり、ほどなく発車した。右手を新幹線が並走して最初はこちらが勝っていたが、結局負けてしまった。
小倉までは40分で走り抜けた。沿線は宅地開発がどんどん進められて駅のそばに高層住宅が建っていた。少しローカルな風景になったと思ったら短いトンネルがあり、鉄橋を渡り終えると折尾という駅に着いた。スペースシャトルのある遊園地や真っ赤な吊り橋を見てホームの上に建物が乗っかった小倉の駅に到着した。
降りたホームの反対側に門司港行の電車が止まっていた。前のほうが便利という学生の声で再び先頭車両に乗った。何人かは運転席のすぐ後ろに立って前方の景色を楽しむようだった。真っ赤に塗られたドアを見て学生の一人が「事故っても血の色を目立たなくするためかも」と呟いた。
開門海峡を見て中国からの留学生が「川、川」と叫んだ。「海です」と誰かがたしなめるように言った。電車は門司港駅の行き止まり式ホームにゆっくりと滑り込んだ。昔はもっと長い列車が出入りしたのだろうと思うと、電車とホームの長さの不釣り合いに無情なものを感じた。改札口には北九州組が先に来ていた。
大正時代に作られた木造の駅舎は重要文化財と言われ、学年ごとに分かれて駅舎を背景に記念撮影をした。どこで昼食をしようかという話になって、北九州組の一人が「焼カレーというのはどうですか」と言った。私たちは船会社の支店だった洋館を眺めながら食事のできる所に向かった。
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