下り坂(35)
前回までの 内容は「文化・芸術」のカテゴリーでご覧ください
入室時間になって、それぞれの受験番号が貼りつけられた席についた。試験監督が読み上げる注意事項は全国共通のマニュアルで、それが日本のあちこちで同時に進んでいるという不気味さがあった。これから外れるとニュースになるんだなと思いながら哲也は机にHBの鉛筆を並べた。社会は9割以上のスコアが期待できる状態になっていて、どんな問題が来るのか楽しみという心境である。
国語・数学・外国語は200点満点 社会と理科は100点満点2科目ずつの合計1000点満点だった。模擬試験で哲也は850点前後の予想を示されていて、これを元に二次をどこにするかが決まった。月曜日に登校したら自己採点をやり、岡山にあるS模試の集計は新幹線で送られると聞いた。もちろん試験が終わったら1日目の自己採点はすぐにやるつもりである。新聞には答えが出ていたが、今は残っている教科のことだけを考えることにした。
哲也たちの学年から現代社会は必須で、日本史・世界史・地理の中から一つを選ぶという方式になった。哲也は学校で受ける社会科の選択を日本史と世界史にして、共通一次は日本史を撰んだ。選択科目のマークを忘れていないかという注意は試験監督が読み上げるマニュアルにもあった。
昼食は別の建物に用意された控室で食べた。たまたま斎藤と顔を合わせてQ歯科大を狙うと聞いた。大塚のことを尋ねてみると海上自衛隊の学校に入るという返事である。理科は理科Ⅰが必須で、これは物理・化学・生物・地学を簡単に網羅していた。学校では科学と生物を選択していた哲也は、共通一次は生物を選択した。理科は8割を取れれば上々だった。
| 固定リンク
コメント