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2012年12月 4日 (火)

下り坂(18)

前回までの 内容は「文化・芸術」のカテゴリーでご覧ください

 午後は理科と英語だった。これが終わると中田が教室までやって来て「K高校のところまで歩こう」と誘った。帰宅する者で電停はあふれかえっていた。バスを利用するなら少し歩かないといけなかった。K高校のところまで行くと哲也の家の近くを走るバスに乗ることができた。合格したら通学はそのバスになるはずである。

 自己採点をするとどのくらいになるか気になっていたが、中田との話題は野球の話ばかりだった。N高校には軟式野球部があるとか、剣道部の先輩で他の高校で野球をしているという類である。歩いている間に満員の電車が二本、哲也たちを追い抜いた。新幹線の高架をくぐって板櫃川という小さな川を渡るとK高校の校舎が見えた。

 交差点を渡ると正門へは緩やかな登り坂だった。バスの走る道路から五メートルくらい上がると正門になっていて、哲也たちはそこで立ち止まった。門の中も坂になっていて高低差は三メートルくらいで平坦になり、三階建ての校舎の玄関前にはソテツが植えられていた。門のほうから向かって右側の屋上にはプラネタリウムのようなドームがあり、左手は五階建てくらいの高さになる塔があった。塔のさらに左手には赤レンガの建物が見えた。

「来年はここに毎日来れるかだよなぁ」

 哲也はそう呟くと後ろを振り向いた。新幹線の高架を博多に向かう列車が通り過ぎた。

 バス停で哲也は自宅近くに行く93番のバスを待つことにした。中田のほうは城野駅までバスに乗りそこから国鉄に乗り換えるつもりである。どちらのバスも来るまでに10分以上待たなければならなかった。二人はバス停で自己採点を始めた。

「どうだった」

 中田の問いに 哲也は 国語34 数学36 社会36 理科34 英語36で176と答えた。中田は 国語33 数学32 社会37 理科33 英語35で合計170と言った。

「勝ったぁ」

「本番で取れないと意味ないよ」

 中田が負け惜しみを言うと93番のバスがやってきた。

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