下り坂(36)
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試験が終わると家路に着く受験生の列が延々と続いた。哲也は平田と合流して手ごたえなどを話した。彼はQ大学工学部で航空工学を専攻したいと言った。さらに梅本が数学の選択問題のマークを忘れたと気をもんでいることも聞いた。梅本はT高でもトップにいてT大を目指しているようだった。二次で逆転という可能性に賭けるんじゃないか、と哲也は応じた。
帰りはバスではなく、国鉄で小倉駅に出ることにしていた。バスの定期外乗車よりも国鉄のほうが少し安かった。バスの通りと路面電車の軌道を抜け、国道に面した新中原駅には歩道橋を上がってそのまま改札だった。階段を下りるとピンク色の電車が入ってきた。座席は完全に埋まっていてドア際に立った。
帰宅すると1日目の自己採点を始めた。新聞の解答と配点では、国語が152点、数学は180点、英語が184点である。国語が150点を超えれば上出来と踏んでいたので、これならばQ大学は確実、O大学を狙ってもいいのかなと思った。そうなると受験は新幹線だった。
翌朝、朝刊が届くと残りの自己採点もやった。現代社会94点、日本史96点、理科Ⅰが85点、生物81点、合計したら872点である。登校してS模試の出した解答と配点で計算してみると880点となった。合格判定に出す点をどうしようかと思ったが、安全を考えて872点でO大とQ大の法学部を判定してもらうことにし、クラスメイトなどからの問いには880点と答えた。辻はT外国語大学を目指すと宣言した。
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